大道芸通信 第353号

大道芸通信353ー①号.jpg大道芸通信353ー②号.jpg大道芸通信353ー②号.jpgヨゲンノトリ(予言の鳥) つづき

今号の挿絵は先月と同じものである。詳細については先月号に譲る。先月は右面(頁)を読んだが、今月は左面(頁)を読む。先月に引き続き佐藤文幸師の読みと解釈である。

又云(う)。世上あまりおごりニ長じ、上下共ニ右の事ヲわすれ、只麗成迄(なるまで)ニ身ヲかた向(け)上たる人ハ下ヲあわれむなく下ハ只先ニ云(いう)おごりニ長じ候斗(ばかり)。先ニ諸神諸仏のいましめ成(る)と、諸人一統ニ申伝(える)。依テ右御姿ヲ家之神棚 鳥ニテ 神武烏(たけき)ト伝言ス

右図は、左記挿絵の「諸(蘇)民 規 氏将孫内懐中御守 諸(将)来」部分である。下部文字は次のように解読。
「上ノ図(の)如くなる紙ニ書(き)門口上張(る)者(は)不事(無事)無レ之と申(す) 甲府町(町々)二者邪険に張(り)不(もう)レ申(さぬ)御事」 

一  八月二日三日比(頃)より者(は)弥以(いよいよもつて)大変二相成り,甲府町々にて一日二三四十人位づつ死ス。来(たる)郡筋在々にも比(頃)無(なく)より諸々に始り候。隣郷村ニテハ両三人も死スト云(う)。  (以上佐藤文幸師解読)

 さて真ん中のお札についてである。これが「蘇民将来」系である事はすぐに気付く。蘇民将来の説話や伝説は全国にあるが、日本に残る最古の文献は『釈日本紀』が引用する『備後国風土記』逸文とされる。同書によると、旅の途中で宿を乞うた武塔神(=牛頭天王)に対し、裕福な弟は断り貧しい兄は快く迎え入れたという。
後年再訪した武塔神は、蘇民の兄及び家族に茅の輪を付けさせ、それ以外弟の一族を滅ぼしてしまった。
以来、茅の輪を付けていれば疫病を避けることができると教えた。(現在各地の寺社で茅の輪を飾るのは、この逸話に基づくものである)蘇民将来が牛頭天王である事は、小生が『民俗と風俗』誌上で「牛頭天王の類を取り除くべし」として発表炭であるので重複を避ける。
なお牛頭天王はスサノオであるとしたのは、右『備後国風土記』を引用した占部兼方が『釈日本紀』へ加筆した事に由来。
 茅の輪の説明の処で前後の脈絡もなくいきなり「吾は速須佐の雄の神なり」と、出てくる不自然さ。同時に茅の輪のご利益を須佐の雄に言わせている。則ち
「後の世に疫気あらば、汝、蘇民将来の子孫といひて、茅の輪をもちて腰に着けたる人は免れなむ」と詔たまひき」
現在伊勢神宮の足下・伊勢市では、一年中注連飾りをかけ、真ん中に「蘇民将来子孫之門」「蘇民将来子孫家」 と掛かっている。「ヨゲンノトリ」が載す守り札も、蘇民将来の守り札である事は明らかである。
 ヨゲンノトリの方の札の説明書きに「上ノ図(の)如くなる紙ニ書(き)門口上張(る)」とあるのはいい。問題はお札の文字である。「懐中御守り」とあるから、元は懐に入れる御守りだったのではなかろうか。そんな目で見ると更に疑問が湧く。改めて見る。
 上の二字{諸民}は蘇民でいいと思う。真ん中の上方にある「魁」のような字。佐藤師が「規」と読んで「規約」「きまり」の意に解釈したが、小生は読めないながら、すぐ下の氏とつなげて「○民」と読んだ。この部分は、「蘇民将来」の「蘇民」部分に該当する。「氏」を「民」と読んだ事については、御守りの一番上文字「諸民」の「民」との共通を感じる。
 則ち、「民」の異体と及び□がある。残念な事に三番目は今回見出せなかったが以前古文書にあった事を思い出す。
次に「将孫内懐中御守」であるが元となった
「将来子孫之門」と比べた。「将(来子)孫(之=)内(門=)懐中御守」
「将来」を名前ではなく未来を表す「将来」と捉え、将来の子孫なら孫であろう。そんな孫が疫病にかからないよう、懐中守りとして作られたのではなかろうか?(根拠はないが、乳幼児の死亡率が高かった当時はそう考えた方が自然である。だから木札が多い蘇民将来護符の中にあって、紙で作られたのである)。これも一団と賑やかとなり、人々が後に門口へ貼るようになったのは、それだけ疫病が流行ったからであろう。
 なおヨゲンノトリを載す『暴瀉病(ぼうしやびよう)流行』(山梨県立博物館蔵)は、「病気をやめぬと牛頭天王に訴える」などという一節もあって面白い。何れ佐藤師の手を借りて全文読んでみたいものだ。

『熈代勝覧』が載せる生業⑮

室町一丁目を過ぎれば日本橋まではもうすぐである。町がひしめきあっている姿は、現在よりもすごいぐらいである。道の向こう側は青物売り、こちら側は魚売りと別れ売ているようである。その合間で目立つのが、振り売りや仕入れ等、それぞれが活気に溢れている。

●板舟の上で商売する仲卸
 板舟は仲卸が商売する売り場の事。大きさは一間×三、四尺。戸板(雨戸)一枚ほどである。現在の屋台同様、板舟の上が店一軒である。周りを囲んでいるのは、それぞれ店の仕入れ人たちである。

●大工
肩に担いでいるのは、鋸や鑿(のみ)などを入れておく道具箱である。後ろを振り向いているのは、後の仲間にでも呼び止められたのであろうか。

●仕入人と振り売り
桶に入れた魚を担っている者や頭に魚を一杯入れた平桶載せているのは、仕入れ人である。後で天秤棒を担いでいるのは棒手振(振り売り。)

初鰹?売り
初鰹うりといえば威勢よく声を上げる売人を連想するが、こんな静かな売人もいたようである。何れにしろ冷蔵庫など内ないから、早く売り切らねばならなかった。

 大道芸の会会員募集 
「南京玉すだれ」や「がまの膏売り」など古来から伝わる庶民の伝統文化「大道芸」を一緒に伝承しませんか。練習日は左記の通りです。
●第三五三回目 五月十二日(水(すい)

●第三五四回目 六月九日(水(すい))
時間・午後七時ー九時
場所・烏山区民センター 大広間(二階)

 また、歴史や時代背景を学び、或いは技術を向上させたい人(オンリー・ワンやナンバー・ワンを目指す人)のために、一名から学習会や特別練習も行っています。
●日時 ・場所(随時)
 随時HP掲示板(ほーむぺーじけいじばん)等で通知

編集雑記
先月十四日(日)江東区深川江戸資料館主催イベント「江戸の物売りと大道芸」へ久方ぶりで出演した。今回は三密を避けるため出演者も見学者も絞った上での開催である。それ故、チラシもポスターもなかった。「これでお客が集まるだろうか」と最後まで不安であった。しかしいざ始まってみると次々にお客が現れ、用意してあった椅子だけでは足りず、追加追加であり、ホッと胸をなで下ろした。


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